海外ドラマには役立つ表現がいっぱい 上手に活用して生きた英語を学ぼう
使える! – TVドラマ編
現代は、TV放送をはじめとして、ビデオ・映画の有料視聴チャンネル、YouTubeに公式にアップされている作品まで、ありとあらゆるメディア配信サイトを通じて海外作品を視聴することができます。
もちろん、単発物(続編が作られなかったもの)にも多くの名作がありますが、シリーズになっているものは世界中の視聴者の間で長期間にわたって人気があることの一つの目安にもなっています。
内容は「日常」を描いた作品から、「SF」「ホラー」「ミステリー」、「時代物」やそのまま仕事で使えそうな表現満載のいわゆる「業界物」までさまざま。
数ある名作の中から、お気に入りを探しませんか?
ジャンル別にピックアップ
今回から、ジャンル別に「自然な会話のやりとり」や「役立つ表現」に出会える作品をピックアップしてお届けします。
人気作品の目安は、次のランキング・サイトを利用しています。
“Ranker watchworthy“:視聴者投票による映画・TVドラマのランキング・サイト
各ジャンル別に上位にランキングされている作品の中から、
筆者が過去に視聴して「これはリスニングに役立った」と思うものをご紹介していきます。
今回のジャンルは『シットコム』
日常を描いたドラマと言えば『シットコム』。
シットコム(Sitcom:Situation/Situational Comedyの略)は、
登場人物や場面設定が固定されており、一話完結で連続放映されるコメディドラマのこと。
家庭や学校、職場を舞台に、家族愛、友情、恋愛に焦点があてられ、登場人物の悲喜こもごもで視聴者を笑わせるコメディです。
日本で言えば、『ホームドラマ』といったところでしょうか。
先ほどの人気ランキングで上位につけ、日本でも手軽に視聴できるTVシリーズとしては次の3作品あたりかと思います。
『となりのサインフェルド』(Seinfeld)1989年~1998年 全9シーズン
『フレンズ』(Friends)1994年~2004年 全10シーズン
『ビッグバン★セオリー』(The Big Bang Theory)2007年~2019年 全12シーズン
“Ranker”では、次の但し書き付きで作品が紹介されています。
”These sitcoms are important because they either influenced a generation’s culture or because they permanently influenced the art of television.”
意味は、
「こうしたコメディ『シットコム』作品が重要である理由は、対象となる世代(または、その時代)に文化的な影響を与えたか、あるいは、TV番組(TVで取り扱われる作品)に長きにわたり影響を及ぼし続けていること」
さて、The Big Bang Theoryは観ていないのでコメントできませんが、
SeinfeldとFriends はともに世界中で人気が高く、
両作品とも初回エピソードが放送されてから25年以上経つ今も、ランキング1~3位の常連です。
『となりのサインフェルド』(Seinfeld)
エミー賞やゴールデングローブ賞を受賞していることからも、比較的安心して観れる作品。
会話も自然で分かり易いので、リスニング教材としては最適です。
『フレンズ』(Friends)
エミー賞を受賞していますが、ストーリーは回(エピソード)によってかなりエキセントリックなことも。
そのため、好みは分かれると思いますが、随所に”wordplay”(しゃれや言葉の軽妙なやりとり)が施されているので、リスニングの教材として面白いと思います。
[注]: 言語と文化は切り離せないため、他の文化圏からの視聴者にはわかりにくい表現が、実際の会話同様にTVドラマや映画でも多用されます。
特に『フレンズ』はアメリカ文化に根差したジョークや言い回しも多いため、はじめのうちは聞き取りに苦労するかもしれません。
しかし、リスニング力そのものと文化に根差した表現を聞き取れるかどうかはまったく別物ですので、聞き取れなくてもがっかりすることはないでしょう。
その他の人気作品
このほか、さらに古くなりますが、
『フルハウス』(Full House) や映画『バック・トゥ・ザ・フューチャー』のマイケル J. フォックス主演の『ファミリー・タイズ』 (Family Ties)、
NHK教育TVでも放送されていた、地球外生物アルフとの生活を描いた『アルフ』(Alf)も、家族の日常風景を描いたクラシックとして今も人気があるようです。
3作品とも、リスニング強化に最適だと思います。
リスニングの順序
現在、どの程度聞き取れるかにもよりますが、一般的には次の順序で視聴するのがおススメです。
1)1回目:まず、日本語字幕付きで観て、大体のストーリーを把握します。
2)2回目:次に字幕なしで観て、分かりにくかったところをチェックします。
ここで重要なのは、どの箇所がわかりにくかったかチェックだけしておいて(例えば、始まってからの時間をメモしておくなど)、全体としては字幕なしで最後まで観きること。
会話の流れや英語のリズムをつかみます。
3)3回目:再度、リスニングを意識しながら(日本語/英語)字幕付きで観て、2回目にメモしておいた分かりにくかった箇所の内容を把握します。
4)4回目:余力があれば、少し時間をおいて字幕なしでもう一度観て、どの程度理解できるか確認します。
その際に、分からなかった、または分かりにくかった表現を書き出してオリジナルの用語集を作っておけば、次に同様のジャンルの作品を視聴するときに必ず活きてきます。
初めからある程度聞き取れるという場合は、#2から始めても良いでしょう。
リスニングを目的として視聴するときの注意点:
字幕はあくまで補助とする。
特に日本語字幕にばかり頼っていると、肝心の英語のリズムがつかめない。
また、TVドラマや映画をはじめとする映像作品の日本語字幕は、「何秒間に何文字」という厳しい制約があるため、意訳してあることも多い。
字幕の内容が実際に話していることと大きくかけ離れているために、
自分の聞き取った内容と異なることで、かえって混乱してしまう場合もあるので注意が必要。
また、英語字幕にも字数制限があることから、話しているとおりには表記されないことも多い。
『シットコム』をリスニング教材として利用することの利点
ここで、TVドラマ、特に『シットコム』の利点についてお話したいと思います。
主な利点は次のとおり。
- 1話の放送時間が30分~1時間(『シットコム』は通常30分)に設定されていること。
- 人々の日常を描いているものが多いため、そのまま会話に使えること。
- 主な登場人物や場面設定が基本的には毎回同じであるため、回を重ねるごとに理解が容易になっていくこと。
- 状況別に頻出表現をチェックしておけば、自分が同様のシーンで話す時に応用できること。
リスニング強化を目的に視聴する場合、映画では一作品の放映時間が長すぎます。
TVドラマがおススメな理由はそこにありますが、
特に『シットコム』は日常がテーマになっているため、
実際の会話にすぐに使える表現が多いこともリスニング強化に役立つ所以です。
『シットコム』と『ソープオペラ』の違い
このほか、同様の登場人物や場面設定で日常を描いたものには『ソープオペラ』(Soap Opera)がありますが、
こちらは日本で言えば「昼メロ」や「夜メロ」(TVで夜11時台に放送されているドラマ番組)にあたる連続もののメロドラマ。
一般にソープと呼ばれます。
日常的な設定でありながら、あまりにもドラマティックな「非日常」を売りにしています。
スペースの関係上、ソープの人気作品についてはまたの機会に。