大人になってからではもう遅い? いえいえ、
方法次第で十分バイリンガルにだってなれます!
大人ならではの英語習得法
あなたは、ひょっとすると「バイリンガルになれるのは子供の頃から英語教育を受けている人の特権」と思っていないでしょうか。
たしかに、子供の頃から英語を学ぶことにはそれなりの意味があります。
しかし、大人には、大人ならではの英語習得法があるとしたら、なんだかワクワクしませんか?
このページでは、
- 英語を小学3年生から必修科目にすることの本当の意味
- 大人になってからでもコミュニケーションの達人になれる
- 大人ならではの習得法であなたもバイリンガルに!
この順番で、「大人のための英語習得法」について解説します。
英語を小学3年生から必修科目にすることの本当の意味
子供のころの学習が理想的なのは?
イギリス国営放送のBBCは2018年5月に”News”ページで、Cognition(認知科学の国際的学術誌)から引用された抜粋記事を”Critical window for learning a language“に掲載しています。
概略:
コンピュータ・モデルを用いたデータ解析の結果として、
(1)英語ネイティブのような「文法力」を身につけるには、10歳になる前に学習を始めるのが理想的。
(2)こと「文法」に限り、10代が学習の最適時期、18歳以降は学習速度が落ちる。
これは、「言語の習得にふさわしい時期」について書かれた記事ですが、
なかでも、「文法の学習は、子供のころにはじめるのが理想的」と結論づけられていることは注目に値します。
日本の教育制度では、おそらくこの観点から「英語を小学3年生からの必修科目」としたことにもうなずけます。
でも、そうだとすれば「大人になってからでもバイリンガルになれる」なんて嘘じゃない・・・。
そう思いますよね?
実は、この記事には続きがあります。
大人になってからでもコミュニケーションの達人になれる
「言語習得」の考え方
さきほどの記事では、イギリスの言語科学者Prof. Marilyn Vihman(ヨーク大学 [the University of York] )の考察を、つぎのとおり紹介しています。
「言語の習得は大人より子供の方が容易とよく言われるが、大人になってからでも言語の達人になれる。
臨界年齢*があるとは考えていない。
18歳という年齢が多くの人にとって(学習曲線*の)プラトー *にあたるということだが、それも全員に当てはまるわけではない。
そのため、早期に学習を始めなければ、ネイティブのように言語を習得できないとする考えには疑問が残る」
*臨界年齢:学習の成立は、出生後のある一定の短い期間に限られるとする仮説。ここでは、その上限年齢のこと。
*学習曲線:練習量と反応時間の関係を表す曲線
*プラトー:学習を続けているにもかかわらず、成長が停滞してしまう現象。または、その時期のこと。
学習曲線のかたちが台地(plateau【platəʊ】)に似ていることから、この名前がつけられています。
対象は、実は「文法」のみ
さらに、この記事では、同じくヨーク大学のDr. Danijela Trenkicが、この研究が言語の一側面である「文法」だけを対象としていることを指摘しつつ、こう結んでいます。
「もし仮に、あなたの発言がネイティブとは一線を画すものであっても、あるいは言っていることのすべてが必ずしも文法的に正確でなくても、言語によるコミュニケーションの達人にはなれるのである」
いかがでしょうか?
個人的には、どちらも「言語」と「コミュニケーション」の本質をついた意見ではないかと思っています。
また、この記事では別の研究の成果として、
「母国語以外の言語を学ぶことで、脳の健康が保たれることが明らかになった」
ことを紹介しています。
このほかにも、大人になってから言語を習得することの利点や実績について書かれた論文はいくつもあります。
つまり、こと「文法」については、子供の頃から学習を始めることに分があるものの、大人になってからではもう遅いということでは決してないのです。
大人ならではの英語習得法であなたもバイリンガルに!
さて、このページの最初で、
と問いかけた理由をお話しします。
大人に必要なこととは?
これまで、英語の「文法」は小学校から学習を始めることが理にかなっていることを見てきました。
さらに、その前(幼児期)から英語に触れていれば、母国語と同様の言語運用能力が身につく可能性があることはおそらく事実でしょう。
実際、多くのメディアが「早期教育」の効用についてとり上げています。
そのため、その時期を過ぎた人が「もう遅いかも」と思うのは無理からぬ話です。
しかし、誰もがそんな恵まれた環境に身を置いているわけではありません。
また、過ぎ去った日々を云々しても先には進めません。
そこで、ここからは、大人ならではの効率的な英語習得法についてご紹介します。
プラトー期を楽に乗り越える
言語習得など、なにかのスキルについて話すときには、必ずと言っていいほど「学習曲線」と「プラトー」という言葉が登場します。
これは、どんな人にも必ず「成長の停滞期」が訪れるという概念です。
語学では、一言語をマスターするまでに少なくとも3回のプラトー期を乗りこえる必要があると言われています。
このプラトー期に差し掛かると、それまでのモチベーションが続かず辞めてしまう人も多いのですが、これはとてもモッタイナイ話。
実は、この期を乗りこえれば、いっきに上達する可能性が高いことが明らかになっているのです。
そして、大人になってから学習を始める場合には、大概は「自分の意思」によるものなので、比較的この時期を乗りこえやすいと考えられています。
そこで、もしあなたが1回目または2回目のプラトーを経験しているのなら、これから大きく飛躍するチャンスです!
モチベーションを維持する方法
モチベーションを維持するには、さまざまな方法があります。
なかでも、有効とされているものの一つが、つぎの方法です。
- 短期的な目標を設定する
- 短期目標を達成したときのために、ちょっとした「楽しみ」を用意する
- 短期目標とあわせて、長期的な目標を設定しておく
- 長期目標を達成したときのために、すこし思い切った「楽しみ」を用意する
少しアンチョクな気もしますが、効果はてきめんです!
具体的には、
1.短期的な目標を設定する
たとえば、
- 英語の資格試験を受ける
- 少し難しいと感じる映画やドラマを字幕なしで観て、英語で内容をまとめる
など。
2.短期目標を達成したときのために、ちょっとした「楽しみ」を用意する
[例]
- 美味しいスイーツを思う存分、食べる
- 趣味など好きなことだけに没頭して、数日間過ごす
こういうのって、想像するだけでも楽しいですよね ^^
3.長期的な目標を設定する
[例]
- 英語を使ってできる仕事に挑戦する
- さらに難易度の高い資格試験に挑戦する
4.長期目標を達成したときのために、すこし思い切った「楽しみ」を用意する
[例]
- 海外旅行をして、英語だけを使って過ごしてみる
- 短期留学をして、英語だけを使って生活してみる
今はちょっと無理でも、少し先に楽しみをとっておくというのもありですね ^^;
これらは一例ですが、長期目標では、「楽しみ」を「目標」そのものにしてもよいかもしれません。
ぜひ、自分にとって、価値のある「もの」や「こと」を設定してみてください。
「言語習得」で重要なキーワード
ここまで、「プラトー期の乗りこえ方」と「モチベーションを維持する方法」についてお話してきました。
ここからは、「言語の習得」で最も重要と思われる2つのキーワードをご紹介します。
1つ目のキーワードは、『構造』
大人であることがプラスに働くことのひとつは、「多面的にものごとを捉えることのできる判断力」。
大人には、それまでの経験から、ものごとを点ではなく面で、つまり『構造的』に判断する力が求められます。
実は、この『構造的』なものの見方が、「言語の習得」には欠かせません。
2つ目のキーワードは、『イメージ』
会話やプレゼンをするときに、意識したいのが「イメージ」の力です。
・ 話し始める前に、内容をイメージできるか
・ 最終的にどのように文章や会話を構成し、どのように展開させていくかをイメージできるか
この「イメージ」する力が、とても重要です。
スペースの関係上、具体的な方法については別の機会に譲りますが、ここでは『構造』と『イメージ』というキーワードを覚えておいてくださいね。