学校英語を学ばずして、英語をマスターすることは不可能です
会話にもちろん活きてます!
学校英語は、会話に向かない?
メディアや英語教育機関を通じて、こんな話を聞いたことはないでしょうか。
日本では長い間、このテーマについてさまざまな議論がされてきました。
しかし、
たしかに、日本の学校で習う英語科目がこれまで何に照準をあわせてきたかと言えば、受験にも役に立つ「読む」「書く」力。
そう考えると、「聞く」「話す」ことで構成される「会話」には向いていないようにも思えます。
そこで、このページでは、
- 英語圏の英語教育との比較
- ネイティブも学校で『文法』『構文』を学ぶ
- 学校で習った英語を「会話」にうまく取り入れる方法
この3つの点から、学校英語を「会話」に活かす方法を考えます。
英語圏の英語教育との比較
ここで質問です。
あなたにとって「英語」とは何ですか?
英語の定義
ちょっと唐突な質問ですが、まず「英語」の定義からはじめたいと思います。
さきほどの「英語とは何?」という質問に対して、
- 「外国語」または「第二外国語」
- 「受験科目」
- 「世界で2番目に多く話されている言語」
(文科省の発表は、中国語が一位) - 「世界共通語」
- 「ビジネスや学術分野の(という但し書きつきで)共通語」
おそらく、このような答えが返ってくるのではないでしょうか。
言語学的には・・・という説明が出来る人もいるかもしれません。
「英語」は「国語」
うえの解答はどれもその通りですが、ここで注目したいのは、英語を話す人にとって「英語」は「国語」であること。
(注:「英語」が第一言語である場合)
つまり、日本では「日本語」を「国語」として学んでいるように、英語ネイティブは「英語」を「国語」として学んでいます。
日本の「国語」教育
さて、今度は「国語」についての質問です。
あなたは、何歳から何歳まで「国語」を勉強したか覚えていますか?
日本の学校教育において、
- 小学校、中学校では「国語」が必修科目
- 高等学校では「現代国語」が必修科目
- 選択科目として「国語表現」「現代文A」「現代文B」「古典A」「古典B」など
このうちのどれかを選ばなかったでしょうか?
「小論文」の授業がある学校も多いと思います。
(世代によっては「漢文」を習った方も多くいらっしゃるでしょう)
このように、私たちはそれほど意識することなく、漢字を含む「国語」を長い間学んでいます。
世界中どこでも「国語」は学校で習う必修科目
思えば、私たちは生まれてすぐから日本語を聞き、物心ついた頃には簡単な日本語を話していました。
これはひとえに、親をはじめとするまわりの年長者が辛抱強く話しかけ、言葉を熱心に教えた結果です。
メディアの力もあり、小学校に上がるころには、ある程度の会話ができていたと思います。
つまり、この自然な言語習得過程を経て、あらためて「国語」として日本語を習うのは、小学校に入学して以降ということになります。
実はこれ、英語ネイティブもまったく同じです。
学校教育制度は国によってさまざまですが、大筋において、
- 小・中学校に通う年齢では「国語」である「英語」が必修
- 高等学校の学年になると、選択科目で「文学」や「哲学」を履修し、大量の文章を読む
- 高等学校の学年では、さらに授業で「構文解析」を行う
このように、英語ネイティブも「国語」である「英語」を学校でもしっかり習うのです。
ネイティブも学校で『文法』『構文』を学ぶ
前章では、第一言語(言語を問わず)を「国語」として習うまでの過程について見てきました。
この過程(ある程度話せるようになってから、学校で正式に習うという順番)は、幼少期からであれば言語習得が容易な理由を端的に説明しています。
『文法』や『構文』は学校で
さて、海外の言語教育課程で何を学ぶのか興味があったため、何人かの英語ネイティブに聞いてみました。
学校教育制度は国によってさまざまなので一概には言えないけれど、おそらく一般的には次のとおりだと言うことです。
英語の初等教育では、単語の『スペリング』のテストが毎日あります。
これは、日本で言えば『漢字』のテストを毎日受けるようなものでしょう。
州や地域によっても異なりますが、小学校では単語の『品詞』や『句読点』などの使い方について詳しく学びます。
『文法』や『構文』を本格的に学ぶのは中学校に入ってからということでした。
繰り返しにはなりますが、これはある程度会話が成立するようになってから習う内容です。
単語はもとより、『文法』や『構文』もしっかり学ぶということです。
学校英語を「会話」にうまく取り入れる方法
私たちの場合はどうでしょうか?
大人になってから英語(特に、ここでは英会話)をマスターするには、ネイティブが言葉を習う順番とは真逆の行程を経ることになります。
それなら、ネイティブのように「聞く」「話す」から初めて、その後、『文法』や『構文』を学べばいいじゃないか?
実際、そうした理論に基づいて教えている英会話教室などもあります。
「聞く」ことが「話す」前の絶対条件
しかし、ここで考えなければならないのは「聞く」期間です。
ちまたでは「2000時間」という数字をよく見かけますが、おそらくこれには根拠があります。
たとえば、先ほどの、新生児として生まれてから物心がつく(3歳頃)までに第一言語を聞く時間は、仮に大人が1日2時間、子供に熱心に話しかければ、約2200時間になります。
ただし、この時間には、「子供が発した言葉を大人が聞き取って修正し、正しい言葉を教える」時間が含まれます。
双方向でのやり取りがなければ、一般的にはなかなか正しい言葉遣いが身につかないからです。
どうでしょうか。
このように蜜な2000時間を学校で、あるいは大人になってから確保することは可能性がないとは言いませんが、あまり現実的ではないでしょう。
また、先ほどの数字は、最も言葉の発達に適していると言われる幼児期の話でもあります。
大人は『構造』を理解してこそ「聞き」「話せる」
つまり、何も基礎がないところからはじめる外国人には、別の学習法を考える必要があるのです。
一般に大人になるにつれ、ものごとを「点ではなく面でみる力」
つまり、さまざまな要素を『構造的』に判断する力がついてくると言われます。
そのため、一定以上の年齢では、英語の『構造』を学んでから「聞く」「話す」練習に注力したほうが効率的です。
その意味でも、『構造』の基礎になる『文法』や『構文』は学校で習うのがベスト*です。
さて、会話力を身につけるには、
- 『文法』や『構文』に基づいた「読む」「書く」力を再確認し、その力をできるだけ強化する。
強化した「読む」「書く」力をベースとして、「聞く」「話す」に特化した練習をする。
この順番で練習を積むことで、確実に英語を話せるようになります。
具体的な方法をいくつか挙げると、
さて、言語の習得には、ここまでお話しした『構造的』なものの見方と、それからもう一つ、『イメージ』力がカギになります。
実は、この2つは「英会話」や「英作文」のコツでもあります。
さらに「聞く」「話す」に特化した練習にはさまざまなコツがありますので、その一部をこのサイトでも公開しています。
せっかく習った学校英語。これからは「英会話」にも活かしていきましょう。
* この時期がベストである理由は、「大人になってから英語をマスターするなんて無理?」でも詳しく説明していますので、ぜひ参照ください。